REFOLIO

2026/10/27 14:29

英国鳥類誌という本

REFOLIOで紹介しているヒゲガラやハリオアマツバメの図版は、F.O.モリスの『A History of British Birds(英国鳥類誌)』に由来するとされるものです。モリスは19世紀英国の博物学者であり、牧師でもありました。鳥の姿を描く図版と、その特徴や暮らしを伝える文章を組み合わせたこの本には、自然を観察し、名前を与え、記録を読者に届ける仕事が収められています。

最初の単行本各巻は1851〜1857年に刊行されました。月ごとの分冊で届けられ、その後も新版や再刊が続いた本です。少しずつ読み進める刊行形式だったことを知ると、一枚の図版の向こうに、次の鳥との出会いを待つ読者の姿も思い浮かびます。なお、本の初刊年と、現在残る一枚が刷られた年は、必ずしも同じではありません。

絵を届けた印刷の仕事

制作を支えたのは、印刷家ベンジャミン・フォーセットらの仕事でした。所蔵機関の資料には、モリスとの制作で木版が使われ、当初は手で彩色し、のちには複数の版による色刷りも行われたと記されています。

そうした背景を知ってから見ると、羽の輪郭や細かな線にも目が向きます。色の印象を楽しむだけでなく、「どこを詳しく描き、どこを省いているのだろう」と眺めてみる。鳥を伝えるための工夫に気づくことも、古い図版を手元に置く楽しみです。

暮らしの中の小さな観察

ヒゲガラなら、顔の黒い模様から長い尾へ。ハリオアマツバメなら、喉もとの白さから後方へ伸びる翼へ。一枚の中で視線を動かすだけでも、それぞれの姿の違いが見えてきます。鳥に詳しくなくても、まずは気になる形や色から選んでよいのだと思います。

飾るときは、鳥のまわりの余白も一緒に見せると、小さな姿が引き立ちます。棚の一角に一枚置く、同じくらいの大きさの図版を二枚並べる。種類をそろえるほかに、尾の向きや翼の形で組み合わせを考えるのも楽しそうです。

絵の下にある英名を、今の図鑑で調べてみるのもおすすめです。部屋に迎えた一羽をきっかけに、本の来歴や実際の鳥へと関心が広がっていく。古い鳥類図版には、眺める時間と、少し調べる時間の両方がよく似合います。

参考資料

Hull History Centre:Notes for a lecture on Benjamin Fawcett