REFOLIO

2026/11/03 19:43

W.D. & H.O. Wills「Celebrated Ships」

海の向こうに、何を求めたのか


海の向こうで暮らすために。まだ知らない場所へ進むために。遠くの人へ知らせを届けるために。W.D. & H.O. Wills「Celebrated Ships」の小さな船の絵には、それぞれ異なる航海の目的が重なっています。今回は、50種の中から3隻をたどります。

【暮らしの場所を求めて|メイフラワー】

1620年、メイフラワーは102人の乗客を乗せて英国を出発し、66日間の航海を経てニューイングランドに到着しました。当初は現在のニューヨーク付近への入植を目指していましたが、浅瀬や風に阻まれ、予定より北のケープコッドにとどまります。やがてプリマスで町づくりが始まりました。そこは、先住民ワンパノアグの人々が暮らしてきた土地でもありました。船は、人々を新しい暮らしへ運ぶと同時に、異なる社会が出会う場にもなったのです。


【氷とともに進む|フラム】

フラムは、氷を押し切って進むだけの船ではありません。氷の圧力を受けると船体が上へ押し上げられるように設計され、氷に閉じ込められても押しつぶされにくい形を備えていました。1893〜1896年のナンセンの探検では、北極海を漂流する計画に使われます。数年に及ぶ航海を支えるため、船内には乗組員が暮らす場所も必要でした。丸みのある船体には、探ることと、生きて帰ることの両方を支える工夫があります。


【海の向こうへ、知らせを届ける|グレート・イースタン】

1866年、グレート・イースタンは大西洋に電信ケーブルを敷く仕事に携わりました。北米とヨーロッパの間で、蒸気船なら10〜12日かかった知らせが、電信では数分で届くようになります。人や荷物を運ぶ船が、今度は言葉の通り道を海底につくる。カードに描かれた大きな船体を眺めると、船の歴史が通信の歴史ともつながって見えてきます。


船の名前を知り、航海を調べ、もう一度絵に戻る。約35×67mmの紙片は、船体の形だけでなく、人々が海の向こうへ何を求めたのかを考える入り口にもなります。


【参考資料】
Royal Museums Greenwich
The Metropolitan Museum of Art
Fram Museum
Cartophilic Society of Great Britain

【今回のセットについて】
今回のセットは50種の実物カードの表面を確認済みです。カード1枚のサイズは約35×67mm。シリーズ発行:1911年。


額装案は三々サイズ、5列×10段の配置です。額装画像は実物カード画像を用いた合成イメージで、完成品の実写ではありません。